エンタメ情報

「はじめの一歩」作者森川ジョージ先生、映像化でも「思い出したくない苦労」を告白

はじめの一歩で知られる森川ジョージ先生が漫画のメディアミックスに関してコメントされたとこで話題を集めています。

ここでは「はじめの一歩」がどんな作品なのか、簡単にご紹介し、なぜこのタイミングでコメントを発表されたのかをまとめてみました。

どんな作品なのか

「はじめの一歩」は1989年から『週刊少年マガジン』(講談社)で連載中。各話数の通し番号の表記はそれぞれ「Round.○○」。2023年7月14日発売の138巻をもってコミックスのシリーズ累計発行部数は1億部の大台を突破した。1991年(平成3年)度、第15回講談社漫画賞少年部門受賞。(Wikipediaより引用)

主人公・幕之内一歩は、母親と二人暮らしの高校生。小さい頃から実家の経営する釣り舟屋を手伝う、健気な孝行息子である。やさしい性格だがいじめられやすく、帰宅途中はいつもいじめに合う。しかし、ある日偶然通りがかったプロボクサー・鷹村 守に助けられ、ボクシングの魅力にとりつかれてしまう。日ごろ、「もっと強くなりたい」と願っていた一歩は、ひたすらに努力を重ね、プロボクサーになってゆく。
(amazonプライムより引用)

さすがにコミックスをすべて揃えるとなると、容易ではない巻数になっていて、最初から振り返って読みたい場合はAmazonでの Kindle版が圧倒的にお勧めとなります。

▼Amazonで購入される場合はこちら

https://amzn.to/49sKwvH

アニメ化は実に三期にまでわたり制作。

一期のアニメは深夜枠であるにも関わらず、全75話という長期に渡り放送。

ちなみに二期は26話。三期は25話まで制作されているほど。

いかに人気があるのかが伺えますが漫画家を目指し、苦労されてデビューされる新人さんにむけて森川さんはコメントを発表されました。

もちろん、背景には漫画家の芦原妃名子さんの訃報を知ることになったことから。

漫画の映像化が話題となる中、森川氏は「漫画家さんの特に新人さんに向けて」と題するメッセージを投稿した。

そのメッセージ内で、過去の出来事を回顧。「はじめの一歩は連載開始してわりとすぐに何社からかアニメ、映画の話がきました。そういうことに全然興味がなかったのでお断りし続けました」と、当初は映像化を断っていたという。

だが「10年ほどして大勢で会いに来てくれた会社がありその熱意に頷き“40巻買ってくれた読者を失望させないでほしい”という条件を出しました」と、熱意に押され条件付きで映像化を承諾した。

 しかし、「2話目を観てすぐに“約束と違う、今すぐやめてくれ。やめないなら僕が連載をやめる”と制作会社言いに行きました」と、納得ができず声を上げたという。

「関係者全員パニックです。でも自分は納得いかなかった」とし、「会議の末“必ずクオリティを上げる”という言葉を貰いとりあえずは引きました」と経緯を説明。

 その結果、「その後素晴らしいデキになり信頼関係ができて脚本チェックもしなくなり全面的にお任せしました。本当に素晴らしかったので初代、二代目の監督にもお礼を言いました」と、納得のいく作品が完成したという。

 森川氏は「一生懸命やってくれているのは承知の上だったので“申し訳ない”という気持ちと“納得できない”という気持ちが入り混ざり、しかし優先すべきは読者だと自分に言い聞かせ行動しました」と当時の思いを回顧。舞台化の経緯も明かし「以上が自分の経験です。あまり表に出すことではないのですがね」と控えめにつづった。  

当時について「走り出したものを止めるのはエネルギーを使うし勇気がいります。自分もあの時の心労は思い出したくもないです」と本音を告白。「自分は原作者が偉いなどと言いません。しかし作品と読者を守れるのは原作者だけで、その責務があります。尊敬と感謝を忘れずに、そして堂々と自分の意見を言ってほしいと思います」と思いを込めた。

 また「原作を改変、脚色して成功した例も山ほどあります」とし、「信頼関係ができた後は自分もそうでした。そもそも漫画と映像では演出方法に大きな違いがあり原作そのままというのは至難の業です」と解説。

「原作者を含め全員が尊敬と感謝をもって携わることが一番なのだと思います。感謝の優先順位ですが漫画家の場合、圧倒的に読者です。そのことを忘れずに。これは自分だけの主観的な意見なので一つの参考としてとどめておいて下さい」と呼びかけた。

スポニチアネックスより引用

原作通りにすることは至難の業

コメントからわかるように、漫画をアニメ化にするためには原作どおりにならないことは、作者は覚悟をもって接していかないところが伺えます。

例え改変、脚色されてもそれが悪いというわけではなく、成功した例もあることを語られていることから出来上がったものを作者が納得できるかどうか、そればかりは作品に熱意を込めた当の本人のみでしか判断できないところであり、違う方向に進んでいかないようにするためには制御する声も必要なのだとわかります。

名シーンは数々ありますが、一部抜粋しますと2000年の記事とはなりますが「我こそはマジンガー」さんのXより引用させていただくと以下のとおり。

いろんな作品の名シーンが思い浮かんだけど、、、今の気分はここ。

はじめの一歩の31巻〜32巻。 木村VS間柴。 ドラゴンフィッシュブローがキマったシーン。はじめの一歩史上一番好きな試合。結末がまたね、泣けるんすよ。

主人公である「幕ノ内一歩」だけではなく、各ボクシング選手たちが殴り、殴られていく展開はテレビでボクシングの試合を見ているかのよう。アニメでどのように表現されたか気になる方は以下にリンク先を載せておきます。

▼Amazonで購入される場合はこちら

https://amzn.to/42vGzE8

まとめ

森川ジョージ先生が手掛けた「はじめの一歩」は138巻を超える人気作品です。

そもそも森川ジョージ先生は映像化にしたい、という熱意よりも作品をいかに魅力的にしていくかを集中されてきた経緯があります。

しかし大勢でやってきたある制作会社の熱意に押され、アニメ化が進んでいくわけですが、2話目で「約束と違う」作りになってしまい、「今すぐやめてくれないと自分が連載をやめる」とまで明言。

結果的にそこから作品はより良い方向へと向かっていき、スタッフや現場監督を信じた森川ジョージさんも感謝しているというのが今回のお話。

ここからわかることは、漫画家を目指して苦労され、自身の作品が映像化されると成功される風潮に世間では認識されがちではあるものの、けっしてトントン拍子に物事は進まないということ。

熱意をもって漫画家を目指す新人さんに、森川ジョージさんは決して他人事ではなく、ご自身にも起こりえる状況であることを伝えるために、コメントを発表したのでした。